「Berryz工房は2015年の春で、無期限の活動停止に入ります」
いつものキャプテンの告知だ、と咄嗟に思った。コンサートのときに、やるあれだ。
それは同期に向けられた言葉じゃなくて、公に向けたような言葉の使い方だった。
「活動停止、って」
「解散なの?」
リーダーと愛理が言う。声はかすれてた。
それに対して何かももちゃんが答えた。気がした。
何を言ってるのか、耳に入らない。
私たちの間と、Berryz工房の立っているところまでの間が、ひどく離れているように見えた。
扉の前に横並びしたBerryz工房が遠い。
そんなことを思った瞬間に、千聖が駆け寄っていた。舞ちゃんも。
二人とも、多分私と同じように思ったのだ。遠くなって見えた違和感が辛くて、離れたくなくて、その距離を無意識に駆け寄ったのだ。
誰かの泣き声が聞こえた。
ここはどこだろう。
Berryz工房のいるあの空間に、今までの楽屋も時間も全部吸い込まれていく。
Berryz工房。
ずっと届かなかった。
いつも前をいた。
この名前ほど憧れた名前はない。
℃-uteに何が足りないんだろう、Berryz工房にあって私達に足りないものはなんだろう。
それをずっと考えて生きていた。
だから、私達は一生Berryz工房を追い抜けないことに気付いて、私はグラグラした。
Berryz工房はここで。